ちょっと暖かいエピソード


うちの犬が天国へと旅立つ2日前。
もう犬は食欲もなく、食べてくれないと薬も飲ませられないのに、
あまり食べず、食べては嘔吐と下痢を繰り返す日々でした。
日に日に体重は減り、
いつもはお袋がお菓子を食べていたら、
「ワン!(それくれ!)」
と吠える犬だったのに、目もくれず横になっていたらしいです。

ただ、その時だけは違ったのです。

動物病院から帰ったお袋は、
毎日寝不足と犬の看病で相当疲れていたらしいです。
その時には既に万が一があるからと医者にも言われていました。
なにか甘いものを食べたいと思ったのでしょう。
自分が正月にお土産で買った「とらやの羊羮」を食べようと出したらしいです。
すると、
「ワン!」
と吠えたらしいです。
お袋は、最後かもしれないと、小さく2切れあげたらしいです。
それを嬉しそうにペロッと食べたらしいです。

お袋は言いました。
「だから、今度またとらやの羊羮を買ってきてね。本当はもっと食べたかったはずだから…」

羊羮なんてほとんど無臭です。
他にも美味しそうな匂いのお菓子はたくさんあったでしょう。
それには吠えずに、とらやの羊羮にだけ反応する。
相変わらず目の付け所というか、正直いやしい犬だなと笑いました。

ただまぁ、
今度実家に帰るときは、とらやの羊羮を買って帰らなければいけないようです。


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